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春の静寂に立つイチョウ ― 旧岩崎邸庭園、黄金の季節を夢見て

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春、葉を落とした大イチョウと出会う

先日、ふとした思いつきで足を運んだ「旧岩崎邸庭園」。都心の喧騒をほんの少し離れただけなのに、ここだけ時間が止まったかのような穏やかさがありました。

その中で、ふと目を奪われたのが、一本の大きなイチョウの木。まだ春の初めだったため、枝には葉もなく、幹は空に向かって静かに伸びているだけ。それでも、その堂々たる姿からは、ただならぬ存在感が漂っていました。

まるで、これからやってくる季節を静かに待ち受けているかのように。

葉のない姿だからこそ、想像がふくらむ

イチョウの葉がない春だからこそ、その樹の「かたち」や「構え」に集中して見ることができます。

枝の広がり方、根元の太さ、幹に刻まれた年輪のような皺……それらが語るのは、まさに「長い時間をここで見守ってきた」木の物語。見上げたとき、私は思わずこう考えていました。

「この木が秋になったら、どれほどの黄金を身にまとうのだろう?」

風に舞う無数の葉、地面に降り積もる金色の絨毯、陽の光に透ける葉のシルエット──
今は見えないその景色が、逆に鮮明に頭の中に浮かびました。

旧岩崎邸庭園の魅力と、イチョウの風格

旧岩崎邸庭園は、明治時代の面影を色濃く残す歴史的建造物と、美しい庭園が共存する場所です。洋館、和館、撞球室(ビリヤード場)という異なる建築様式が並ぶ空間に、広い芝生と樹々の緑が溶け込むように広がっています。

その庭の中にあるイチョウの木は、季節の主役ではないかもしれません。けれど、葉がない春の姿を見た今、私は確信しています。

秋には、きっとこの木がすべてを包み込むような輝きを放つのだと。

洋館のクラシックな外壁と、黄金の葉のコントラスト。落ち葉を踏みしめながら歩く小道。写真を撮る人たちの穏やかな時間。そんな光景が、この場所にはよく似合うのです。

今はまだ「静」の季節、でもそれもまた美しい

春の旧岩崎邸庭園は、華やかな桜や新緑にはまだ少し早く、どこか「静けさ」が支配する時間でした。でも、そんな何もないように見える瞬間にこそ、植物や場所が持つ「素の姿」が垣間見えることもあります。

葉を落とし、空を仰ぎながら春を迎えるイチョウの姿に、私はどこか励まされるような思いを感じました。

そして、また秋にこの場所を訪れたいと思いました。あの大イチョウが、どんなふうに空を染めるのかを、自分の目で確かめたくなったのです。

おわりに

春に見た、葉のないイチョウ。その静けさが、逆に秋の煌めきをより鮮やかに想像させてくれました。

旧岩崎邸庭園は、どの季節に訪れても違った表情を見せてくれる場所です。まだ見ぬ季節を心に描きながら歩く時間は、まるで自分だけの物語を綴っているような感覚になります。

次に訪れるときは、黄金色の世界に包まれているかもしれません。

アクセス情報(再掲)

  • 住所:東京都台東区池之端1-3-45
  • アクセス:東京メトロ千代田線「湯島駅」徒歩3分
  • 入園料:一般 400円
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